字幕制作をしようと思うなら、避けて通れない著作権。情文センターの著作権担当者が、字幕制作にかかる著作権についてわかりやすく解説します。
著作権 なんでもQ&A
よく”著作権”があるから使えないというけど、映画作品や放送番組も勝手に利用してはいけないの?
はい。劇場用映画作品、放送番組などは『映画の著作物』といって、著作権法で保護されている著作物です。著作物を著作権者の許諾を得ないで無断で利用すれば、著作権侵害という犯罪になります。無断で複製して販売したり、内容を勝手に変えてしまったりするのがこれにあたります。
ただし、例外的に無断利用できる場合もあります。「私的使用」や「教育」「福祉」「図書館」関係は、著作権者に許諾をもらわなくても利用できる場合があります。
ライブラリーで貸出している番組や映画作品は、著作権者の許諾を得ているの?
ライブラリーで貸出に供している放送番組や邦画作品、官公庁広報作品などには、番組・作品ごとにたくさんの著作権者(出演者・監督・音楽・美術・脚本等)がいます。
情報文化センターでは、著作権者に「著作物(番組・作品)を聴覚障害者向けに二次使用(字幕を挿入し、複製し、頒布・貸出する)する」許諾や承諾を得て、聴覚障害者向けDVDを制作しています。
最近、著作権法がかわって、聴覚障害者のためならば、字幕作成や貸出用の字幕入り映像作成が自由にできるようになったと聞いたけど…
「著作権法の一部を改正する法律」(2010年1月1日施行)で、①「聴覚障害者等のために音声を字幕や手話にすること(複製)など」や②「聴覚障害者等に貸出をするために字幕や手話を作成すること(複製)」について、著作権者の許諾なくできるようになりました。
ただし、いくつかの条件があり、行える者も政令で定められた者(主に)に限られています。①は聴覚障害者情報提供施設など、②は聴覚障害者情報提供施設と図書館などが認められています。また、②の場合は、著作権者に補償金を支払う義務があります。
情報文化センターでは、どんな点に注意して字幕付きDVDを制作しているの?
著作物の内容を変えることなく、著作物に忠実に聴覚障害者の方々にご覧いただけるように注意しています。例えば映像が途中で切れていたり、CMが入っていたりすることがないように、著作権者が所有している元となる本編映像を借用して、これに音声情報に即した字幕や手話を挿入して聴覚障害者向け字幕付きDVDを制作しています。
また、番組の中には”個人情報”や”肖像権(プライバシー)”が含まれているものもあり、利用にあたっては著作権法だけではクリアできない問題が有る場合もあります。
情報文化センターでは、これらをふまえた上で、適正に著作物を利用できるよう、著作権者と契約を交わしながら、制作を進めています。