【沿革】 平成21年3月31日 官報(号外第67号)
厚生労働省令 第九十六号
身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)第四十五条の規定に基づき、手話通訳を行う者の知識及び技能の審査・証明事業の認定に関する省令を次のように定める。
平成二十一年三月三十一日
厚生労働大臣 舛添 要一
手話通訳を行う者の知識及び技能の審査・証明事業の認定に関する省令
(目的)
第一条 この省令は、聴覚、言語機能又は音声機能の障害のため、音声言語により意思疎通を図ることに支障がある身体障害者(以下「聴覚障害者等」という。)とその他の者との間の意思疎通の確立に必要とされる手話通訳(手話により聴覚障害者等とその他の者の意思疎通を仲介することをいう。以下同じ。)を行う者の手話通訳に関する知識及び技能(以下「手話通訳技能」という。)についての審査・証明(以下「審査等」という。)を行う事業(以下「審査・証明事業」という。)の認定に関し必要な事項を定めることにより、手話通訳技能の向上を図るとともに手話通訳を行う者に対する社会的信頼を高め、聴覚障害者等の社会参加を促進し、併せて手話の発展を図るとともに、身体障害者福祉法第四条の二に規定する手話通訳事業の適切な実施を確保し、もって国民の福祉の増進に寄与することを目的とする。
(認定)
第二条 厚生労働大臣は、審査・証明事業であって、手話通訳技能の向上を図り、手話通訳を行う者に対する社会的信頼を高める上で奨励すべきものを、次条に規定する基準により認定する。
(認定の基準)
第三条 審査・証明事業の認定の基準は、次のとおりとする。
一 審査・証明事業を実施する者が、一般社団法人若しくは一般財団法人又は社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第二十二条に規定する社会福祉法人(以下「一般社団法人等」という。)であって、次に掲げる要件を満たすものであること。
イ 聴覚障害者等の福祉の増進に積極的に寄与し、かつ、審査・証明事業を実施する者としてふさわしいものであること。
ロ その役員の構成が審査・証明事業の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。
ハ 審査・証明事業以外の業務を行っている場合には、その業務を行うことによって審査・証明事業が不公正に実施されるおそれがないものであること。
ニ 審査・証明事業を的確かつ円滑に実施するために必要な経理的基礎及び事務的能力を有するものであること。
二 審査・証明事業が十分な社会的信用を得られる見込みを有するものであること。
三 審査等が試験及び登録により行われるものであること。
四 試験が全国的規模で毎年一回以上行われるものであること。
五 審査等の対象となる手話通訳技能の水準についての審査の基準(以下「審査基準」という。)、試験の実施の回数、時期及び場所並びに試験問題の水準及び合格者の判定方法その他試験の実施方法が適切なものであること。
六 審査・証明事業を実施する者が、試験科目及びその範囲の設定、試験問題及び試験実施要領の作成並びに手話通訳技能の程度の評価に係る事項その他技術的事項に関する業務を行う場合は、試験委員に行わせるものであること。
七 試験委員は、認定試験に関し高い見識を有する者であって、当該技能について専門的な技術又は学識経験を有する者のうちから選任するものであること。
(認定の申請)
第四条 第二条に規定する認定を受けようとする一般社団法人等は、名称、代表者の氏名、住所及び認定を受けようとする審査・証明事業の名称を記載した申請書に次に掲げる書類を添えて、厚生労働大臣に提出しなければならない。
一 定款
二 役員の名簿及び履歴書
三 申請の日の属する事業年度の直前の事業年度の末日における財産目録、貸借対照表及び財産の権利関係を証する書類
四 申請の日の属する事業年度の事業計画書及び収支予算書
五 申請の日の属する事業年度の翌事業年度から申請の日から起算して三年を経過した日の属する事業年度までの各事業年度の審査・証明事業の実施及び収支に係る計画を記載した書類
六 審査・証明事業に関する事務組織を記載した書類
七 審査・証明事業の実施要領
八 審査基準を記載した書類
2 前項第四号に掲げる書類は、審査・証明事業に係る事項と他の業務に係る事項とを区分して記載したものでなければならない。
3 第一項第七号に掲げる実施要領は、次に掲げる事項を記載したものでなければならない。
一 審査等を受けようとする者の資格に関する事項
二 試験委員の選任に関する事項
三 試験の実施の回数、時期及び場所に関する事項
四 試験問題及び合格者の判定に関する事項
五 合格者の登録の有効期限その他の合格者の証明に関する事項
六 登録者に称号を付与する場合にあっては、その名称その他の称号の付与に関する事項
七 審査等の手数料に関する事項
八 審査等の業務に関して知り得た秘密の保持に関する事項
九 審査等の業務に関する帳簿及びその保存に関する事項
十 前各号に掲げるもののほか、審査等の業務に関し必要な事項
(厚生労働大臣の認定を受けた旨の表示)
第五条 第二条に規定する認定を受けた審査・証明事業を実施する一般社団法人等(以下「認定法人」という。)は、審査・証明事業を実施するときは、厚生労働大臣の認定を受けたものであることを明示していなければならない。
(変更の承認等)
第六条 認定法人は、審査・証明事業の名称、審査・証明事業の実施要領又は審査基準を変更しようとするときは、その変更の内容、理由及び時期を記載した変更申請書を厚生労働大臣に提出して、その承認を受けなければならない。
2 認定法人は、定款、役員又は審査・証明事業に関する事務組織を変更したときは、遅滞なく、その変更の内容及び時期を記載した変更届出書を厚生労働大臣に提出しなければならない。
(事業計画書等の提出)
第七条 認定法人は、毎事業年度開始前に、当該事業年度の事業計画書及び収支予算書を厚生労働大臣に提出しなければならない。
2 第四条第二項の規定は、前項の事業計画書及び収支予算書について準用する。
(事業概要報告書等の提出)
第八条 認定法人は、毎事業年度終了後三月以内に、次に掲げる書類を厚生労働大臣に提出しなければならない。
一 当該事業年度の事業概要報告書
二 当該事業年度の収支決算書
三 当該事業年度末の財産目録及び貸借対照表
2 第四条第二項の規定は、前項第一号及び第二号に掲げる書類について準用する。
3 認定法人は、第三条第六号に規定する試験委員を選任したときは、遅滞なく、試験委員の氏名、略歴、担当する試験業務及び選任の理由を記載した届出書を厚生労働大臣に提出しなければならない。
4 認定法人は、試験を実施したときは、遅滞なく、試験の内容及びその結果を記載した帳簿を厚生労働大臣に提出しなければならない。
(報告の徴収等)
第九条 厚生労働大臣は、審査・証明事業の実施に関し必要があると認めるときは、認定法人に対して報告又は資料の提出を求めることができる。
(審査・証明事業の廃止)
第十条 認定法人は、第二条に規定する認定を受けた審査・証明事業を廃止しようとするときは、その廃止の理由及び時期を記載した廃止届出書を厚生労働大臣に提出しなければならない。
(改善勧告)
第十一条 厚生労働大臣は、認定法人が実施する審査・証明事業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該法人に対し、審査・証明事業の運営の改善に必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
(認定の取消し)
第十二条 厚生労働大臣は、認定法人が次の各号のいずれかに該当するときは、第二条の認定を取り消すことができる。
一 第三条に規定する認定の基準に適合しなくなったとき。
二 第六条第一項の規定により厚生労働大臣の承認を受けなければならない場合において、その承認を受けなかったとき。
三 第六条第二項、第七条第一項、第八条第一項、第三項若しくは第四項又は第九条の規定により書類の提出又は報告をしなければならない場合において、その書類の提出若しくは報告をせず、又は虚偽の書類の提出若しくは報告をしたとき。
(認定等の告示)
第十三条 厚生労働大臣は、第二条の規定により認定をしたときは、認定法人の名称及び住所並びに当該認定法人が実施する審査・証明事業の名称その他必要な事項を官報で告示する。これらの事項の変更について第六条第一項の規定により承認をし、又は同条第二項の規定により変更届出書を受理したときも、同様とする。
2 厚生労働大臣は、第十条の規定により廃止届出書を受理したとき又は第十二条の規定により認定を取り消したときは、その旨を官報で告示する。
附 則
(施行期日)
第一条 この省令は、平成二十一年四月一日から施行する。
(経過措置)
第二条 この省令の施行前に手話通訳を行う者の知識及び技能の審査・証明事業の認定に関する規程(平成元年厚生省告示第百八号)第三条に規定する認定を受けた法人は、この省令第二条に規定する認定を受けたものとみなす。