とってもお天気がよくて、
秋日和の日には外へ出なきゃもったいない。
紅葉の後は果樹が実をつけてるってことに気づいたり、
秋の空にぽっかり浮かぶ雲に癒されたりするから。
今、大事な友が重い病気でいる。
彼女宛ての千羽鶴が我が家に送られてきたので、
段ボールを抱えて、
一駅向こうの友の自宅までブラブラ歩いて行った。
空は澄み切った秋の青空。太陽の日はあたたかい。
団地の下の公園を通ると、木に何かなっている。
何だ?とよくみてみると「カリン」だった。
以前、カリンの木を育てている聾ばあちゃんの、
介護を担当していたことを思い出した。
カリンをもぎとって、はちみつ漬けにしてしばらくおいて、
レモン汁にあったかいお湯を注いで飲んだっけね。
聞こえなくなってから出会った聾ばあちゃん、
聞こえない私を頼りにしてくれて、
聞こえない私を可愛がってくれたっけな~。
カリンのはちみつ漬けはのどが痛い時にとってもよく効く。
あ~もぎ取って持って行ってあげたいな。
本当に手の届くところに沢山なっているカリン。
これで本当に採ったら、立派な泥棒さんで、
明日の新聞に載っちゃうかもねなんて、馬鹿なこと考えた。
カリンを諦めながら歩くとまたしても何かなっている。
今度は「キウイ」だ!あ~おいしそう!それも沢山!
カリンは採りたくなったけどキウイは採れないって思う。
なんでだろうね。
その次の木はなんだかわからなかったけど赤い実を沢山つけていた。
そして秋の定番、もっとも泥棒したくなる「柿」
柿の実がなる頃医者が青くなるって、
それぐらい柿のビタミンは強力らしい。
高校時代からの友だから、当然コミュニケーションは音声だし、
病気中だから大声で話してとも言えないから、
こんな時はやっぱり聞こえていたかったな・・と思う自分がいる。
友の声が聞きたくて、FM補聴器システムのループを買った。
耳の調子に合わせてワイヤレスガイドと使い分ける。
誰も来ていないことにちょっぴりホッとして、
二人だけの会話を楽しんだ。
数人集まると話に絶対についていけないからね。
ビートルズのCDを持っていってみたら喜んでくれた。
ヘイジュードが流れると何故か泣きたくなる。
私達もすっかりおばさんだけど、
昔の歌の話になって、「赤いスイートピー」とか、
校歌とか一緒に歌って笑った。
切れ切れの、少しばかりの、
頼りなく残った聴力は、やはり、ありがたかった。
結構、難聴は進行しているから、
多分老化とともに完全に聴こえなくなっちゃうんだろうな、
と予感している。
でも、まったく聞こえなくなっても、
多分歌っているんじゃないかな。そうありたい。
秋の味覚を食し、機能を回復しつつある友の姿に、
こっちが癒されている。
そっちは病気とともに、
こっちは聴覚障害とともに、
お互いに波乱はあれど頑張っていこう。